しろまち堂~縁側~

しろまち堂、「倉庫」から「縁側」にブログ名変更しました(もひとつ前のブログ名「基本設定は“上機嫌でGo!”」です)。のんびりペースで、他のブログで書かないようなテキスト記事をちまちまと更新していくことでしょう。ゴンチチ記事や映画記事は『しろまち堂~音楽・映像館~』で、本の記事は『しろまち堂~本館』で更新予定です。あ!『しろまち堂~写真・旅行館~』もありまーす!

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【本】ぼくは考える木


ぼくは考える木―自閉症の少年詩人と探る脳のふしぎな世界

久々の本の紹介です。
これはどう考えてもむこうでやる本ではないんですが、紹介したいので―。
(長い文章になりますので、ご覚悟のある方だけ続きをどうぞ)



高機能自閉症の人たちの本というのはけっこう出版されています。
言語を使える方たちなので自分のことを文章を使って表現することもできるわけですね。
で、そういう方たちの本により、私たちは自閉症の方々の感覚がいかに私たちとちがうかということがわかるようになってきたわけです。

この本は、そこからさらに進んだ、といっていいのかな。
言語を(口頭で)上手にあやつれない自閉症でありながら詩人である少年と母親の紹介であり
それに強く惹かれた自閉症の少年の母親が、インドにいる彼らをアメリカに呼び、交流し、検査や彼の詩の発表やもろもろのことをしながら、母親のメソッドによってわが子とのコミュニケーションがとれるようになるまでのノンフィクションです。

やー、文章にするとわかりにくいですね。
インドの少年と母親はティトとソマといいます。
ティトは自閉症ですが、ソマの働きかけにより、文章を文字盤やタイプライター、パソコンなどによって打ち出し、会話やコミュニケーションができます。
しかし一方では彼の行動は重度といわれる自閉症児の行動そのものです(と書かれています。
これってじっさいのところドキュメンタリーとかを見ないと実感わかないんだろうなー。
わたしは本だけなので正直ピンときていません)。
このティトとソマのことがBBCのドキュメンタリー番組で紹介されたんです

重度の自閉症なのに詩人、しかも会話ができる!?
これは画期的なことです。
我が子が自閉症なら、そう、もちろん惹かれないはずはないです。
だって、自閉症の人とコミュニケーションをとるのは難しくて(不可能では?と思うことも多くて)
どんなに身近な人であっても理解が大変だそうです。
それができている、ということに著者のポーシャは驚きます。
彼女はわが子のダブが自閉症であるとわかってから、夫と一緒に自閉症に関する財団を立ち上げるほどのパワフルな女性。
ティトとソマを財団の会で行う会議の講演者として呼び寄せるのです。

ここからティトとソマ、ポーシャの交流が始まります。

ポーシャはティトとソマのことを知りたいと思います。
どうやったのか、どうやっているのか、ティトの内面、考え方、もろもろ…
彼女はやがてティトとソマをアメリカに滞在させるための費用をねん出する方法を見つけ
ふたりはインドから4カ月の予定でやってきます。
たくさんの検査、その合間に語り合う道のりは平坦ではありません。
研究者の人たちの無理解、スタンスの違いなどうまくいかないこともたくさん起きますし
ポーシャとソマはとにかく一緒にいますが、とてもタイプが違います。

それでもポーシャはふたりからいろいろなことを学びます。
ティトに、そしてポーシャの目的にあった研究をしてくれる研究者たちが見つかったり
ティトやソマがいろいろな人と交流しながら世界をひろげたり
そんな中、ポーシャの息子のダブは週に一日、ソマのところへ行きソマのメソッドを受けていました。
(ちなみにこれはポーシャとともにではないので、ポーシャはメソッドを受けているダブの様子を知りません)
ある日、シッターのマリアとソマからポーシャは意外な報告を聞くことになります。
ダブがソマのメソッドにより、文字盤を使って言葉をつづることができるようになったのです。

すべての自閉症児のうち、こんなことができるのはたった二人なのでしょうか?
そんなはずはありません。
ソマはメソッドをほかの子どもたちにも試し始めます。

ほかの子どもたちにもそれは効果がありました。
効果が見え始めてはいるけれど、まだ検証としては定かではない時期に
テレビの取材がきます。彼らはそれを受けることにします。
全国からの反響はもちろんすごいものでした。

そしてソマのメソッドは二つの形をとって広がり始めます。
ソマは自分で少しでも多くの子を直接教えるという教師のスタンスで
ポーシャはメソッドとして、他の人もできるやり方を確立するというスタンスで。
ここからはポーシャの側の話が少し語られ、本は終わりです。



延々と内容を語りましたが、この本でダブがソマのメソッドで意思疎通ができるようになったあたりから
昔読んだ同じく早川のノンフィクション(こちらは文庫)「神様は手話ができるの?」 (ハヤカワ文庫 NF (110))を思い出しました。
こちらは聴覚障害の子のノンフィクション。口話ではコミュニケーションをとれない娘と、手話を使うことによって一気に話せるようになった家族の話です。

コミュニケーションが取れないということは闇の中にいるような心細さを感じさせるのだと思います。
逆にいえばコミュニケーションがとれる、意思の疎通ができるということで私たちは相手との気持のつながりを感じていられるのではないでしょうか。
考えていることがわかる、気持ちが伝えられる
それがどれほどお互いに明るい気持ちをもたらしているか
どれほどお互いに幸せを感じさせることであるか
そんなことをかみしめる本でした。







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 [ 2009/04/29 22:57 ]  | TB(0) | コメント(0)
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