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【本】クオ・ワディス(上)

2014.11.19(02:02) 547

うちにあるのは岩波文庫は「クオ・ワディス」です。
表紙のステンドグラスが美しいです。



内容(「BOOK」データベースより)

ローマ―この頽廃の都では恋など懶い日々のほんの一興。だが、ウィニキウスは心のすべてを傾けた。相手はリギ族王家の娘、人質の身の上、そしてキリスト教徒だった―。ヘレニズムとヘブライズムの拮抗を背景に、壮大な歴史ロマンの幕が上がる。

著者:シェンケーヴィチ
出版社:岩波書店(岩波文庫赤)





先日、モンゴメリの『愛の果ての物語』を本ブログで紹介したときに、元ネタ?であるこちらを紹介していないなー、と。
さすがにコドモノ本ではないので、こちらのブログで紹介させていただくことにしました。

古典の名著でありながら、読んでる人が少ない作品なんですよね…。
かくいうワタシも、読んだのは20代の…いくつくらいだっけ。知り合いの人から熱烈にすすめられたのがきっかけでした。
読んでみたらなるほど魅力的で、いまだにときどき拾い読みをするので、手放せない作品です。

ローマ帝国、ネロが皇帝の時代です。
風紀が乱れ放題な一方で、キリスト教が宗教としてまさに布教され始めたころ。
ドラマティックなこの物語の始まりは
男性が女性に一目惚れという、それほど珍しいものではないのですが
男性のウィニキウスはバリバリのローマ市民。情熱をたぎらせて女性リギアにのぼせています。
いっぽうリギアはあまり公にはしていませんがキリスト教徒でかなり純情な箱入り娘。
気にはなるのですが、ためらいも恐れも恥じらいもたっぷり。

この始まりかた、どっかで知ってるパターンだなと思ったら
ハーレクインに始まったロマンス小説の系統ですわ。
ちょっと違うのは、女性の口説きかたを完全に間違えているので
リギアが芽生え始めた恋心を捨て去る勢いで逃げることw

いや、笑いマークつけていますが、当人たちにとってはシャレにならんレベルなのです、じつは。
ふたりだけなら申し込み、プロポーズ、成就という小ぢんまりとした物語で終わるかもしれないのですが、
ペトロニウスという洒落者の知恵者が間に入り、良かれと思って事態をかきまわすものですから
逃げまくる女、追いまくる男という、サスペンスめいた状況が続き、スリルたっぷりになるんですよ。
当時の政治状態の話などもはさまり、興味がないワタシなどはたるいかも…と思うのですが
それが物語の大事な背景だったりしますので、ちゃんと読まなくちゃなのです(そして読んどくと役に立ちます)。

ところでこの作品、読んでいて面白いのが
作品を読んでワタシたちが感じるであろうツッコミが、作中で必ず入っていたりするのです。
上記のペトロニウスもツッコまれます。そうそうそう!と、毎回ヘドバンの勢いでうなずきながら読んでますw
(もっとも、ペトロニウスは趣味人でもあり、危うい場面を切りぬける天性の機知もあるので
己が才を使わずにいられないところがあり
誰に非難されても、どこ吹く風で押しとおしたりもするのですけれど)
実際、結婚という正式な手順を踏めば単純にめでたしめでたし…な展開になるところ
ペトロニウスが結婚などよせ、愛人として引き取るがいいというのはともかく、
ネロまで巻き込むものですから、玉つきのようにどんどんこじれまくるのです★
恋しいのに手に入れられないウィニキウスはもう発狂寸前です。

この時点では、彼はまだリギアにはのぼせあがっているだけで
恋はしているが、愛してはいない状態ですね。
作中で何度も切々と述べられる彼の心理はくどいくらいの情熱をたたえていますが
いやそれ欲情だけですから!とドン引きされても文句は言えない…と、たいていの女性が思うレベル。

モラル?なにそれおいしいの?というほど爛熟したローマと
そのなかに、ポツリポツリと存在する清らかな女性達は、その清楚さゆえに目立ちます。
ペトロニウスのことを熱烈に恋うている奴隷のエウニケもそのひとり。
いじらしく愛らしい彼女は次の巻、最終巻と登場が増えますので
こんな子がいるんですよーと書いておかなくちゃ。

スピードとスリルたっぷり
多少こってりですが、読み応えもバッチリで
豪華絢爛、きらびやかなローマらしい序章でありました。
ドラマティックな物語は、ここから二転、三転し
ロマンスと宗教とが入り混じった展開になっていきます。
この先も楽しみです。
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