しろまち堂~縁側~

しろまち堂、「倉庫」から「縁側」にブログ名変更しました(もひとつ前のブログ名「基本設定は“上機嫌でGo!”」です)。のんびりペースで、他のブログで書かないようなテキスト記事をちまちまと更新していくことでしょう。ゴンチチ記事や映画記事は『しろまち堂~音楽・映像館~』で、本の記事は『しろまち堂~本館』で更新予定です。あ!『しろまち堂~写真・旅行館~』もありまーす!

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【本】クオ・ワディス(下)

いよいよ最終巻です。


内容(「BOOK」データベースより)
放火犯はだれだ。民衆の怒りははけ口を求めて荒れくるう。列強の圧制に苦しむポーランド同胞への思いを、迫害されるキリスト教徒に託したこの作品は、発表と同時に熱狂的歓迎を受け、二七カ国語に翻訳された。はたして「心の勝利」は成るか。

著者:シェンケーヴィチ
出版社:岩波書店(岩波文庫赤)

(上)の紹介はこちらで
そして
(中)の紹介はこちらから
ご覧いただけます。



前の(中)の最後で大火事に見舞われてしまったローマ。
いったい誰が火をつけたのか?
なんと、その責任をキリスト教徒が負わされてしまいます。

というわけで、この巻は大部分がキリスト教徒迫害の巻です。
リギアも早々につかまってしまいます。
彼女を取り戻そうと奔走するも、ウィニキウスもペトロニウスもことごとく失敗。
ペトロニウスの斜陽の様子や、ウィニキウスが試練にあってキリスト教への帰依を深めていく様子が
この下巻の見どころと言えるかも。

正直いって、リギアに関してはここまでひっぱるか?ってきらいもあるのですけどね。
下巻の最初のほうでつかまって、彼女の処刑がはじまるのが下巻の三分の二がおわったあたりですから。
なかなか長いですよ。再読しながら、え、こんなに転々とされてたっけ、と。
(リギアの処刑は色んな意味での見せしめの意味があるため
逃げ出さないように細心の注意を払われつつ、かなり後回しにされているのです)

この延々と続く迫害の場面に関しては、どこに焦点を当てて読むかがポイントになるかもですね。
というのも
とにかく長く、右往左往するのですが、その中でも
ウィニキウスが信仰心を深めていく場面や、
やっと会うことができたふたりが愛を深める場面など、信仰的恍惚に満ちた場面の美しさがあり
また、一方では
ウィニキウスの戦いつつ権力を失っていく様子(滅びの美学ともいうべき麗しさ)などが
入り組んで展開されるので
なんかこう、流されるままに読んでいく感じになりやすいのですよ。

ローマというか皇帝ネロの勢力の下、欲望と悪がやりたい放題のように見えています。
しかし、その中でもまれている人々の中には後にキリスト教徒になる人もまた含まれています。
このあたりは物語がうねっている、その産物であり
伏線とすらいえないくらいの伏流の帰結となっているので
なんとも書きあらわしがたいところなんですよねー★

実際
ローマ人のやりたい放題のおかげで
キリスト教徒たちは殉教…といえば聞こえがいいですが
無実の罪で処刑をバンバンされちゃうわけです。

こんなに蹂躙され放題だなんて!
と思いつつ読んでいると
ネロに対する糾弾が意外な人物からなされて
風向きが変わり始めたり。

(ネタバレですが、リギアは奇跡的に助かります。
その一端がこの糾弾をきっかけにしているともいえるでしょう)

それでもやはり迫害は止まず
使徒のペテロですらも心くじけそうになるとか
この最終巻ったら、ドラマティックに揺れ揺れです。

ペテロがローマから出ようとする場面で
物語のタイトルになった「クオ・ワディス・ドミネ(主よ、どこへ行かれるのですか)?」と語る場面になります。

実をいうと、この場面の感動の度合いに関しては
宗教的なことに抵抗感がある人は低くなるでしょうから
人によって評価が非常に分かれることでしょう。
抵抗感がない人だと(わたしもそのひとり)、鋭く光がさしこむような感激があるのですが…。

この場面の後で展開されるペテロの殉教は
宗教的転回の結果の凱旋でして
肉体は処刑によって亡くなるわけですが
精神的には高揚し、戦に勝ったかのような勢いがあります。

対比的に描かれるのがペトロニウスです。
先ほど滅びの美学と書きましたが
ネロの堕落が進んだがために
黙っていても、ネロを非難しているととられてしまい
やがて死刑の宣告が来るであろうところまで事態が極まったとき
自ら死すことを選択します。

とはいえ…
これがもう
かっこいいんですよー!

自死なので、褒められたことじゃないんだよなーと思いつつも
このスタイリッシュさにはもう、一言もなくひれ伏してしまいますよ。
さすが美の裁定者!
このペトロニウスの死の場面は万人受けする美しさで描かれていますので
物語の最後を飾る、いわばトリですが、文句のつけようもありません。
おともするエウニケがまた可憐でしてねぇ。
最後にいい女性と連れ添えてよかったね、ペトロニウス、って感じです。

こうやってよきローマは滅んでいくのね、となりますので
ネロの最後や、その後の様子は本当にエピローグ。オマケですね。

そして最後の最後に残る
「クオ・ワディス・ドミネ?」の文字。
半ば消えかかるほど時間がたち
けれど文学と言葉は残っているのです。


キリスト教の始まりの素朴さと
ローマの終わりの、爛熟と腐敗をドラマティックに書きあげた古典の名作です。
たとえばサトクリフ作品のような、
ハードだけれど面白い物語が好き!という方がお読みになれば、
きっと深くご満足いただけることでしょう。


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 [ 2014/11/27 01:34 ]  | TB(0) | コメント(0)
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