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夜の蝉

2015.02.18(23:59) 582



Twitterのたわいないリプから思い出した1冊。



北村薫さんの初期のシリーズ、「円紫さんと私」シリーズの2作目。

一番好きな作品でありつつも、初読の時から、この作品のちょっとしたエピソードに引っかかりを感じたのを思い出して再読。

当時言葉にできなかった違和感を言語化できるというのはトシをくったからでもあるなw 



収録作品の中でも一番最初の話『朧夜の底』。

詩吟をするカッコイイ高岡正子こと正ちゃん。非常に魅力的なキャラだけど、

この作品では彼女は秘めた毒を放っている。

(以下かなり強烈にネタバレですので、少しだけ空けます。未読でこれから読もうかなんて考えちゃってる方はスルーしてくださいましね★)














正ちゃんは「私」と仲がいい。けど、この友情ってどっか対等じゃない。

保護欲というか支配欲というか、なんかそういうのが絡んでいる。正ちゃんのなかでは「私」は自分よりも下、なんだよね。

妹的に思っているのか、それとも恋愛的な色合いを帯びた友情なのか。まあ、無意識なんだろうけど、どちらにしても正ちゃん的には彼女を頼りなく思っているところあり、そして、自分のいうことをきかせたい気持ち、けっこう濃厚。

じゃなければ、出会った異性に対してほのかにいだいた好意をいじくるなんていう、正ちゃんぽくない行為の理由というか裏付けが薄弱すぎる。



初読の当時は自分と「私」にあまり年の差がないせいか、ちょっとした引っかかり程度だったのだけど、今になって読み返すと、正ちゃんがしてることって、かなりえげない。

「私」が「かっこいい」と無意識にこぼした言葉。仲がいいなら、その裏にあるものだって感じ取っているはず。なのに正ちゃんは相手の本名を教えない。伝えるのは彼のあだ名。

それだけならまだいたずらの範疇かもしれないけど、わざわざ本に関して縁を取り持つような情報をわたし、でも橋わたしはせず、そこに「私」を送り出す時にダメ押しのようにあだ名を繰り返す。



相手の男性を正ちゃんが好き、というわけではなさそうだから、これは「私」の恋愛感情を邪魔したい、が動機だろうな。恋してほしくない、自分の周囲の関係性を変えたくない、わけだ。

…読み返していてね、この屈折にちょっと気持ち悪くなるくらいで、なんで当時は気づかなかったんだろうと。若いということはバカいということだと思っていたけれど、鈍いということでもあるんだなあ。ま、だからこそこれほど濃いい仲の好さを醸し出せるわけなんだけれども。

(そしてたぶん、若いころに気づかなかったってことは、自分の友情も似たりよったりだった可能性が高いな、今思うと。くわばら、くわばら、である★)



続編の『秋の花』にもちょっと似たような場面があって、昔の異性の友人に会って、バイクの後ろにのせてもらった話を「私」が正ちゃんにすると、正ちゃんは「そんな危ないことを!」みたいな説教めいた話ををそれはもう執拗にして、「私」を言葉で追いつめるんである。

これはハッキリ言って、仲良しの域をちょっと越えてる。だって、同じく仲のいい絵美ちゃんにはそんなことはひとつも言わない。

まあ、絵美ちゃんはおっとりしてそうに見えてしっかりしているって設定のキャラだけど、それにしたって、「私」だってそんなぼんやりってわけではないのに。「私」が男性に近づくのが正ちゃん的には面白くなくてどうしようもないんだね。

彼女自身、自分の言動の屈折には気づいてないよね。無意識。だからこそ若さの持つドロドロっとした熱が非常によくない感じであらわれちゃってて、トシとってから読んだせいか、物語の裏に潜む苦みを強く感じるようになっちゃった。スパイスききすぎ?って感じを受けたり。



「円紫さんと私」は北村さんの初期のシリーズ。たぶんもうこの続きは出ないんだろうな…。

「私」の内面の変化が興味深かったんだけど、社会人になってからのくだりはちょっと微妙で、ああ、このシリーズはもしかするとそろそろ読めなくなるかな…という予感もしていた。ホントはちゃんと終わりですっていう作品読みたかったけど、まあ、仕方がない。



てことを考えていたのまで、文章を書きながら思い出す。



もしシリーズの最終巻「終わり」って形で出ていたら、いつごろのどんな話で終わったんだろう。

そして、正ちゃんはどんなふうに登場したのか。『朧夜の底』や『秋の花』での彼女の言動は伏線になり得たのか?



たらればにすらならない思いつきで、答えは出ないままだけど、言葉になった気持ち。

記事にまとめてネットの海に放流してみることにする。
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